規定のガイドラインに従わないと、注入間で望ましくないキャリーオーバーが発生することがあります。
クロマトグラフィーシステムでは、不要なピークや過剰なバックグラウンドノイズを形成する物質は、すべて汚染とみなされます。キャリーオーバーは汚染の一種であり、注入後にシステムに残留しているサンプル物質が、以後の注入でピークとして出現し、定量化を損なう現象です。システムのパフォーマンスを最適化するには、キャリーオーバーを最小限に抑え、許容範囲(多くの場合、検出限界未満)に保つ必要があります。
注: キャリーオーバーは、カラムの使用時またはシステム内で発生することがあります。カラムでダブルグラジエントを実行することで、カラムキャリーオーバーを特定できます。2 番目のグラジエントでキャリーオーバーが観察される場合は、Waters は強溶媒でカラムを洗浄することを推奨します。
キャリーオーバーは、チューブ、フィッティング、またはその他のハードウェアが正しく取り付けられていない場合や、効果がない洗浄溶媒によって生じます。以下の処理を行って、キャリーオーバーを低減します。
- 拡張ループは、必ず同一のシステムでのみ使用します。
- すべてのチューブ接続が適切に取り付けられていることを確認します。フィッティング締め付け用ねじを締め付ける前に、チューブがすべての接続ポート内に適切に(内部に隙間なく)取り付けられている必要があります。接続不良により、サンプルが残る不要なスペースがリザーバーにできて、キャリーオーバーが増えます。(リーク防止 を参照してください。)
- ニードルガイドに、キャリーオーバーの原因となる残留サンプルやゴミがないか点検します。必要であれば、ガイドを清掃または交換します。
- キャリーオーバーの原因となるので、粘着性の物質を使用したプレートまたはバイアルのシールシステムは避けてください。
- サンプルとニードルの素材が相互作用している疑いがある場合は、洗浄溶媒を強力にするか、洗浄時間を長くします。
- 洗浄溶媒を選択するときは、これらのパージおよび洗浄溶媒に関するガイドライン に従います。
関連項目: クロマトグラフィーシステムでの汚染管理の詳細については、Waters ウェブサイト (
www.waters.com) にある
Controlling Contamination in LC/MS Systems(『LC/MS システムにおける汚染の管理』)(715001307JA) を参照してください。